日本の卵の賞味期限
平成11年、食品衛生法施行規則の改定によって賞味期限表示が義務化されました。
夏 期 |
(7~9月) |
採卵後 16 日以内 |
春秋期 |
(4~6月、10~11月) |
採卵後 25 日以内 |
冬 期 |
(12~3月) |
採卵後 57 日以内 |
この日数の範囲内で、たまごを安心して、「生で食べれる期限」を、
それぞれメーカーが安全性を考えて短めに設定しています。
ほとんどが、”賞味期限は約2週間前後”となっています。
この日数は、上記の目安に、流通期間+現在、日本の家庭で消費されている卵、
一般的に1家族3人と仮定し、1パック10個のたまごが約7日間で消費されることを、
足し合わせた期間だそうです。
ちなみに日本のセブン‐イレブンで販売している「新鮮こだわりたまご」と「定重量10個入安心お届け卵」
の賞味期限は21日間。
出荷から店頭まで10℃以下の徹底管理をしているので、鮮度が落ちにくく、
21日間生でもおいしく食べられるというのが宣伝文句となっています。
日本の卵は、 日々産卵したものは翌朝にGPセンターに到着。
早ければその日の夕方、遅くともその翌日には小売店店頭に並ぶそうです。
「産卵日+2日以内」の店頭出荷・納品となっています。
期限を過ぎた卵に関しては、
「賞味期限が過ぎても、食べられなくなるわけではありません。
賞味期限が過ぎたタマゴは、できるだけ早く加熱調理をして食べてください」
と、なっており消費者まかせとなっています。
加熱用卵も存在するようですが、
調べたところ、食品工場などで、業務用に使用され、一般的ではないようです。
普通に買う卵は、すべて生食用と言うことです。
日本では、賞味期限の明示が義務づけられていますが、日数などは生産者や業者らが自主的に決めており、
採卵日の表示については法的な義務づけが、実は無い為、なんと採卵から半年も経った卵が流通すると言う事件がありました。
2004年2月19日 週刊文春(pdf)
2004年1月19日 産経新聞(pdf)
日本の卵・賞味期限について詳しく知りたい方はこちら→農林水産省
ドイツの卵の賞味期限
ドイツの卵の賞味期限は以下の通りです。
①Das Mindesthaltbarkeitsdatum darf die Frist von 28 Tagen nach dem Legen
nicht überschreiten.
②Im Handel ist eine Kühlung ab dem 18. Tag erforderlich, wobei eine Lagertemperatur
von +5℃ bis +8℃ einzuhalten ist.
③Eier dürfen nur bis zum 21. Tag nach dem Legen an den Verbraucher abgegeben
werden. Der 21. Tag nach dem Legen kann wie folgt berechnet werden: Mindesthaltbarkeitsdatum
abzüglich 7 Tage.
①賞味期限は、採卵から28日を超えてはならない
②小売店では採卵から18日後は+5℃~+8℃で保存販売する。
③採卵から21日以上経過した卵は、売ってはならない。:賞味期限の7日前の卵は売ってはならない。
ドイツの卵賞味期限は、生食期間の賞味期限設定では無い為、
最終的な賞味期限は、日本のものより長いのです。
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MINDESTENS
HALTBAR BIS
01.03 |
VON 19.02
AN BEI +5℃
BIS +8℃
ZUKUEHLEN |
賞味期限
3月1日 |
2月19日から
+5℃から+8℃で冷蔵
と記載されています。 |
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ドイツの卵には、ケースに温度の保存期間と賞味期限が
記載されたシールが貼られています。
(ばら売りのものは、売り場に記載) |
逆算すると、この卵が採卵されたのは、2月2日と言う事になります。
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某大型スーパーの
卵売り場
普通の卵と一緒にOster用時期は、色つきの卵も売られている。 |
撮影:3月5日
お徳用卵
賞味期限:3月23日
採卵日:2月23日
採卵から10日目 |
撮影:3月5日
BIOの卵
賞味期限:3月22日
採卵日:2月22日
採卵から11日目 |
ドイツの卵パックは、6個もしくは10個です。(業務用は除く)*4個パックをBIOのお店で見つけました。
採卵から21日以上経過した卵は売ってはならない、つまりそれまでは売ってよいので、
同じ売り場でも、日付の違う卵が並んでいます。
また、BIOの卵=新鮮、と言う事ではなく、ここ数日卵売り場を気にして見ましたが、
価格のせいか、普通のスーパーでのBIO卵の回転率は、他の卵より悪いようです。
BIO卵を買う場合は、
●賞味期限に注意する
●他の商品と日付を比べる
事をお勧めします。
卵の保存温度と賞味期限
卵本来は、殻の表面にあるクチクラという薄い膜が
細菌の進入を防ぎ、更に卵白に含まれているリゾチームという酵素が、細菌の増殖を防ぎ、黄身を守っており、
日持ちする構造になっています。
*風邪薬に含まれる抗菌剤リゾチームは、100%たまごの卵白から精製されています。
卵のサルモネラ菌が増殖する為には、硫黄が必要で、この硫黄は卵白にはなく 卵黄に存在しています。
卵黄膜が弱化し卵白に卵黄が混じるとサルモネラ菌が急激に増えます。
ハンフリー博士は、この”卵黄膜が弱化しサルモネラ菌が急激に増殖し始める期間は、
保存温度と一定の関係がある” ことから生食できる期限の算出する計算式を生み出しました。
その計算式についてはこちら→ たまご博物館
計算式に基づき、下記の日数理論値が割り出されています。
■たまごの保存温度と生食できる日数(理論値) |
保存温度(℃) |
日 数 |
保存温度(℃) |
日 数 |
10 |
57 |
20 |
30 |
11 |
55 |
21 |
27 |
12 |
51 |
22 |
26 |
13 |
49 |
23 |
25 |
14 |
45 |
24 |
22 |
15 |
43 |
25 |
21 |
16 |
40 |
26 |
19 |
17 |
38 |
27 |
17 |
18 |
35 |
28 |
16 |
19 |
33 |
29 |
15 |
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卵は、WHO世界保健機構で「殻付き卵の輸送、配達および貯蔵は10℃以下で行うべきである」
と勧告がおこなわれています。
新鮮な卵
割ったときに卵黄がこんもり盛り上がり、濃厚卵白がたっぷりあるものが新鮮な卵です。
濃厚卵白は厚みがあって、少し白濁していること。また、割ったときに殻から離れにくいのが新鮮な証拠です。
また、新鮮なたまごの卵白は、炭酸ガスが含まれているため、少し白く濁ったように見えます。
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新鮮卵
卵黄がこんもり盛り上がり、卵白にも高さがある。
ゆで卵にしたとき、むきにくいのは新鮮な卵。
産卵直後は炭酸ガスが含まれているので、ゆで卵にすると殻がむきにくく、
卵白がぽそぽそするのです。
卵が最も美味しいのは、ガスの抜ける3~7日後と言われています。
黄身の色は、飼料の違いなので、鮮度には関係ありません。 |
たまごを割ったとき、卵黄の表面にシワ(皺)が見られることがあります。
たまごは、保管中に「気孔」を通して水分が蒸散する為、
日数が経つと、中身は風船のようにしぼんで行きます。
そして、たまごの置かれた状態によって、卵黄にシワがよります。
黄身に張りとツヤがある程、新鮮な卵なのです
(人間と同じ?/苦笑)
また、たまごの丸いほうの先端では卵殻から離れており、
そこにできた空間は気室と呼ばれます。
産卵直後のたまごにはほとんど見られない気室ですが、
数分から1時間の経過で出現、約2mmになります。
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また、この気室を上にし、保存した方が、卵の鮮度が保てます(下記詳しく)
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時間の経過とともに気孔を通して内部の水分が蒸発していくため、気室は大きくなっていきます。
ゆでたまごにしてみて、凹んでいるところが気室です。
凹みが大きいほど、古い卵といえます。
←右下の凹んだ部分が気室。古い卵程、気室部分が大きく凹む |
気室が広がる期間は、個体差も大きく、置き方にも関係するので一概にはいい切れませんが、
26℃くらいの場所に1ヵ月置けば8mm程度に達っするそうです。
この気室高が高いほど古い卵と言え、一般的に8mm以上の卵は古いと言えるそうです。
ドイツの卵は気室高が、KlassA-Frisch卵で6mm以内、KlassA-Extra卵で4mm以内で、
出荷する事が、義務付けられています。
ゆでたまごや温泉たまごの賞味期限
ゆでたまごや温泉たまごは、黄味の固さ(半熟の度合い)や殻にヒビが入っているか、何度で保管していたか、
などなど条件によって日持ちする日数はずいぶん変わります。
以下の表は、あくまで参考程度としてください。
家庭により作られる方法や、条件がさまざまですが、作ったら早めに食べる事が基本です。
■温泉たまごの賞味期限
保管温度 |
状態 |
|
10℃ |
ヒビなし |
2~3日 |
ヒビ入り |
いつの時点でヒビが入ったのかわからない場合は食べるのを控えたほうがよい。 |
殻を割ったもの |
その日中 |
常温 |
ヒビなし |
その日中 |
ヒビ入り |
いつの時点でヒビが入ったのかわからない場合は食べるのを控えたほうがよい。 |
殻を割ったもの |
半日以上経過したものは食べるのを控えたほうがよい。 |
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*固さによって賞味期限は違います。また、日本で市販されている物は、当てはまりません。
■ゆでたまごの賞味期限
保管温度 |
状態 |
|
10℃ |
ヒビなし |
4~5日 |
ヒビ入り |
いつの時点でヒビが入ったのかわからない場合は食べるのを控えたほうがよい。
調理して間もなければ2~3日中に食べたほうがよい。 |
殻をむいたもの |
その日中 |
常温 |
ヒビなし |
1~2日 |
ヒビ入り |
いつの時点でヒビが入ったのかわからない場合は食べるのを控えたほうがよい。 |
殻をむいたもの |
その日中 |
|
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固ゆで、半熟ゆでなど固さによって賞味期限は違います。
半熟タイプは、表より早めに食べていただくことをおすすめします。
殻から出した卵は、賞味期間がずっと短くなる、と言うことです。
古いか新しいか分からなくなった卵の調べ方
ドイツの卵の賞味期限は、パッケージに記載されています。
パッケージを捨ててしまったり、エッグポケットなどに入れ、新旧混ざってしまった場合に有効です。
殻を割らないで生卵のままの卵を10%の食塩水(水900ccに塩100gを溶かす)に入れます。
底にしずむのは新しい卵 で、立ったり浮いたりするのは古いたまごです。
このようになるのは、先出ですが、卵は古くなるほど卵白に含まれている水分や炭酸ガスが殻の
空気穴「気孔」(1個に7千~1万7千穴)から抜けていき、
その分、「気室」が大きくなり、浮き輪のようになるからです。
気室の中の空気量により、卵のしずみ方が異なります。
卵の保存方法
卵は採卵から2週間ぐらいは常温(15℃程度)で保管可能ですが、しだいに鮮度は落ちていきます。
冷蔵庫で保存すれば、さらに長持ちします。
たまごを冷蔵庫にしまう時は、尖ったほうを下に、卵の丸い方(気室のある方)を上にします。
尖ったほうを下にして保管する理由は、卵は古くなって くると卵黄が浮くので(上にあがる)、
外部からの細菌の影響を受けやすい卵殻(カラ)と卵黄を近づけないようにする為、だそうです。
また、卵は鈍端部より鋭端部の方が強度があるので、鋭端部(尖った方)を下にした方が
割れにくいという利点もあります。
また、冷蔵庫のドアポケットは開閉の温度変化を一番受けやすい場所なので、、
買ってきたパックごと棚にしまった方が、鮮度が長持ちします。
万が一菌などが付着していた場合、他の食品への付着を極力防ぐこともできます。
卵は、気孔から外部のにおいを吸収しやすいので、においの強い食品から離しておくようにして保存したほうが、
長い期間おいしく食べることができます。
殻にひびが入ったたまごは、カビがはえたり、腐ったりしやすいので、ひびが入ったらすぐに使ったほうがよいでしょう。
絶対に生食や、半熟にせず、充分に火を通します。
ゆで卵を作る場合、調理する15~20分前に冷蔵庫から出して、常温に戻しておきましょう。
冷えた卵を急に加熱すると、殻が割れたり、また、火の通りが悪くなって失敗の原因になることがあります。
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